―― 銀羊号へ ――[――…それから、幾年も過ぎ、酒が飲める年齢になったとき、養父の方が自分より上機嫌だった。それまでも秘蔵のボトルをちょろまかそうとして関節技を食らったりと、あの船にいた頃からまったく成長しないやり取りを重ねるなどしていたものだけれど。これから何かしたいことはあるかと聞かれて、首を傾げた自分が語った言葉は、思い浮かぶ言の葉がぽつぽつと積み重なってゆくような、あまり脈絡がないもので。けれど、その “望み” を最後まで聞いた養父は、笑って頷いた。]