ぐ、っ、 …く、っそ、[くらりと眩む視界で見れば、正規兵の纏う鎧には辛うじて目視可能な窪みひとつ。鎧を破壊可能なのは高威力の打撃武器か、鎧に混ぜ物が多く粗悪な品であった場合だが、後者はあり得ない。知った上で放った一撃ではあるが、いざ剣を奮ってみるとその実感は手ごたえとして確かに伝わる。] …っつう… 弱点はそこじゃない、か。 ……いつだったか、あなたにも聞いた…[盾の一撃を貰う直前に発せられた声が蘇る。 ふ、と息吐き出して、頭の側面を伝う赤を手で乱暴に拭う。]