[深い口づけに舌を絡ませて応じていたが。彼がロザリオを外してカソックを脱がせる時になって、ハッと気づく。いつも首から提げているロケットを、外していない──。ズキリと胸が痛んだ。どうして今日は忘れていたのか。その中には絵姿などではなく金の髪が入っているから、もし見られたら興醒めにも程があるのではないかと思い、焦る。慌てて首に手をやり鎖の留め金を外し、あくまでもさり気なさを装いながらロケットを演壇の隅に寄せた。]