― 黄砂の村 ―[いっときの平穏を享受した村に、再び戦いの足音が迫る。先触れは、遠く長く響く地響きだった。無数の異形の者たちが立てる音。蹄もち地面を穿つもの、大地を踏みつけ踏み鳴らすもの、無数の鱗をくねらせて地を削るもの。雑多な音が、うねりと振動となって村に届く。本来は赤の亜神に仕えるべきものたちだろう無数の妖魔の群れは、今はひとりの召喚師がけしかけるままに破壊の旋律を奏でようとしていた。]