―少し前/第三艦隊・進軍中―
[にこやかにクッキーを受け取ったミリアム>>279は、そのままくるっと回れ右して、栗鼠のようにスルスルと身軽に帆柱を上っていった。
彼女は、いつもよく笑っている。
戦が好きで笑う者は居る。
陛下の為に働けて嬉しいと笑う者は居る。
…けれどうっかり敵船の接近を見逃すくらい
時に不真面目な態度は、あまり其の二択にそぐわない。
第三艦隊は、様々な出自の者が集まっているせいか、
自ら話さない限り何も詮索しないのが艦の通例になっていた。
だからミリアムが何を望んで此処に居るかは、
―――きっと彼女自身しか知らない。]