― ホール ―
[軽やかな足音が聞こえてそちらに目を向けると、何やら難しい表情をした女性が一人。そのまま通り過ぎ往く時に挨拶をかけると、難しい顔をしたままで挨拶を返してくれた。
無視をされるかと思っていただけに、わざわざ足を止めてくれたことに微か驚きつつもへらりと笑う。難しい…というよりも、戸惑っているのだろうか。
誰かに連れてこられたのかと問われて>>461少し考え]
そうです。名前は聞かなかったので知らないけど…も、って。あなたもですか?
[少し意外に思う。場違いな自分と違って彼女の所作は洗練されていて、この館に相応しい人物に見えたから。事情が聞ければと思ったけれど、彼女がここの関係者ではないならあまり聞けないかもしれないと相手に悟られぬ程度小さく息を吐き]
待てと言われたから待っていたんですが…することが、なくて。
[浮かぶのは困ったような笑み。明らかに年下の女性に愚痴染みたことを零すのも憚られ、それだけを告げる。本当は祖母の所に戻りたかったけれど、先程の少年の様子を見るとそれは出来ないことであるであろうというのは理解できた]