―――待て、琉璃。
どうしてそうも短絡を起こすんだ。
[慌てず騒がず迷わずに、道具を利用し、
人の知恵にて超常現象を解決しようとする姿は潔いが、
流石に制止を掛けずには居られない。>>459
近い場所にある手首を捕まえ、どちらの赤毛からも遠ざけつつ。]
確かに俺も碌々信じていないが、
信じていない分だけ、俺達は陰陽術に対する造詣が浅い。
安易な方法を選択し、大事になっても対処が出来ないだろう。
先達がそうしろと云うからには、手順を踏んだほうが良い。
………髪が切れるだけならまだ良いが、
身体の別の場所とリンクしていたなら、最悪血管が断ち切れるぞ。
[己と彼女の間で明確に繋がっている物と言えば、やはり血である。
双子ほどは近くないが、赤の他人と云うほど遠くない。
髪の色ほどには似ている距離感の一つを上げて、
脅すように言いつけると、掌でソーイングセットを押し返した。]