― ミリカ村への途上・空 ―[騎馬で先んじた三人より遅れて出立した褐色は、高くなく、低くなく、の高度を滑るように飛ぶ。夜間哨戒に勝手に出ている事もあり、音もなく風を捉えて滑空するのは慣れたもの]……ほんと、こんな時じゃなきゃなあ。[つい、口をつくのはこんな愚痴。それでも、飛ぶ機会を得られた事は、純粋にありがたかった。例え他に目的があるのだとしても、そうしている間は、抱えた苛立ちやもやもやを忘れていられるから]