・・・・・・。
どうして自分はこの人を殺したっすか。
船長からそんな指示は受けてないっす。
[ぼんやりとした表情で呟く。
血にまみれた男を見つめていると、いつしか自分が倒れているような錯覚に陥る。]
あれ? これから何をしようとしていたっけ。
[瞳に映る色彩は褪せ、遠くまでの音を拾い、血の香りはいつも以上に仰々しくて。]
自分、いつからこんなに毛深く。
どうして四つん這いに?
自分って、誰だっけか。
[ガルー
男の遺した言葉が耳を擽る。]
ああ、そうか。
[瞳に獣の瞳孔が浮かび上がると共に、ハーランもまた深い闇底へと落ちていった。
弱みを見せれば、喰らわれるのだから。]