― 城館・ホール ―[通されたホールは、人生の中で見たことがない程豪華なものだった。案内してきてくれた人物にそこで座って待つようにと言われてソファに腰掛けるものの落ち着かない。手持ち無沙汰にソファを見れば、家具職人である父が手掛けたこともないような細やかな装飾が掘り込まれ、何故ここに場違いな自分が連れてこられたのかとますます疑問が湧いた]―…。[視線を巡らせれば、そこに誰かはいただろうか。人の姿を見れば、こんばんはと声をかけてみるだろう*]