(闘争は嫌いだ。
血肉を削りあうような生身の闘争など吐き気がする。
だが、嫌っているはずのそれは。
結局かたちを変えただけで、金や権力の座を得るための戦いにおいて、シェパード家の血はやはり自分にも流れているのだということが、すぐにわかった。
それらを得る才があることを知り、そしてそれ以上に底のない欲が自らのうちにあることを知った。
だが、自分がほかの兄弟と違うところ。
ヒトの顔色をうかがうこと、人が望んでいること、ひとの欲の色、欲のかたち、欲の流れが目に見えること。
それが私の武器だと知った。
それを駆使して権力の階段を駆け上がり、頂点の座につくこと。
それが私の闘争だと知った。)