[乾いた木材やマストの切れ端を雑多に積み上げると、手慣れた様子で火を起こす。
片手にはこれまた奥にあった木箱から拝借したワイン瓶。
おいでおいでと手を振る。]
イングリッドは一緒じゃないの?
[当たり障りのないことから問いかける。
少し若く見える彼の記憶はどうなっているのか。
もしもタイガが学院にいた当時の状態ならば、当時の自分は髪が長かったあたりが大きな違いだろうが、その他の経年変化はそう大きくはないだろう。果たして彼は違和感を認識するのか。
タイガの声は、脳裏に響いてくる中にはなかった。ということは。
ひそかに観察する。]