[視界の端では、広場に集まった民衆が武器を手に取るのが見えた>>370。
つい先程までは何も手にしていなかった筈の民が、
熱に浮かされた眼差しで、鎮圧軍に牙を向けている。
巫女姫から、民への攻撃は厳禁と申し付けられているだけに
兵が彼等へ向ける剣先の勢いはどうしても鈍る。
そんな光景が、広場のあちこちで見受けられた。
チッ、と舌打ちするステファン。
元はといえば、軽率な自身の行動>>408が招いた事態であるのだが、本人はそれに気付くことなく。
ただ素直に、命を実行しようとしたのだからと盲目を是としている]