(私が生まれ、育ったのは、宇宙連邦本部に近い巨大惑星。
宇宙開拓時代に物理的距離の近さは無意味だ。
関係性の近さ。縁が深い、ということだ。
地球系の人類が惑星人口の大半を占めるが、私は地球をまったく知らない。
自然というものはよくわからない。
生活環境というものは、住みよいかたちに調整されるものだと、それが当然であると認識していた。)
(当時の自分は小柄で小太りな体系をしていた。
まあ、今とそう変わらんか……可愛げのあるなしは別として……。
私の兄弟はみな、父の言動を真に受けた。
闘争心の塊……どいつもこいつも……。
私はそんな奴らにいつも虐げられていた。
赤面の癖と、吃音の癖。
元からあったからか、奴らに虐げられたことで出たものか……。
あいつは連邦政府のどこそこの省庁の次期トップ。
あいつは連邦司法裁判所で裁判官。
あいつは連邦軍の将軍。
あいつは政府と関係が深い惑星間企業の幹部……。
みんな大きな声と大きなからだ、腕っぷしの強さだけでこちらを痛めつけていたくせに……。
暴力は、嫌いだ。)