[シロウから視線を逸らせば、そこに映るは瓦礫の山。穏やかなはずの春の空気は、どこか物悲しく。微かに煙草の匂いが混じる。] ………………そろそろ、戻りましょうか。 あれこれ騒がれている頃合いでしょうし。[シロウの様子に気付くこともなく、静かに、声を零す。その指は、再び革袋に添えられていた――…。]