[春なのに。吹き抜けてゆく風は冷たい。こんな風が吹き続けたら、枝<<ツヴァイク>>も折られてしまうかもしれない。厳しくも優しい箱庭で暖かな光を浴びて育つことの出来た、平和の中で生まれた枝も。そんな予感を振り払おうと、大きく左右に首を振る。そして馬車の音が消えるまで、彼が去った先を見ていた*]