―― 天獄の泉:回廊 ――
[闇に包まれたのは刹那の時。
距離と時間に干渉した誘拐は、地上から魔界まで一足飛び。
ザッと紫昏が晴れれば、其処は堅牢な城壁の内側。
武骨だが趣味の良い娯楽施設は、砦を思わせる。]
さて―――、テオに挨拶……は、まぁ、良いか。
不義理を嘆くほど、殊勝でもあるまい。
[同じ穴の貉、同じ俗物。
彼の芸術家しての才と妙な凝り性は、神に並ぶ。>>375
飽き性な我が身にはない探究心を躾の場とするも一興。]
ふむ、龍人の気配もあるか。
矜持の高い彼らにしては珍しい――…、
喜びたまえ、君の同胞も幾らか居るようだ。
[顎を持ち上げ、力の大きさと気配を赫の眸で計り。空間転移したばかりの彼を煽るように、穏やかに微笑んで見せた。*]