自衛の為の強さ……。
[何度も読み返したその文字を音にして]
『自衛の為の強さは確かに必要だ。
だが、誰が何のために自衛をするのか。
民衆が暴徒化してナミュール国の正統なる支配者である巫女姫に刃を向けた時の自衛?
それとも、民衆を護るべき王府が日々力を増してゆく民衆に対してのものか?
どちらも自衛と呼べるなら、その為の強さとは巫女姫の為のものだけではなく、民衆の為にも存在すべきものだと思うぜ。
前者だけを意識するのならば。
オレは今、シュビトにはいないだろう』
[アレクシスの言い分も尤もではあると思うが、返答は単純にそれを肯定するものではなかった]