―三日目・朝―
[最終日の日程は完全自由観光。>>238
最終目的が京都駅にさえ向かえば良い辺り、自腹を切ってでも京都奈良より遠方に出かける猛者もいるかもしれない。
当然炉達がそんな無理をする必要も理由もなく。
班員がこっそり約束していた女子達と回って、更なるお近付きをだの喚いて意気込む背中を遠い目で見送った。
あれくらい突き抜けていれば幸せなのだろうか。
それこそどこぞの見目麗しい赤毛の磯巾着ならぬ腰巾着のように。
毎度恒例となった行き当たりばったりの行先を大河に問おうとして、
彼の死角から来た者がぶつからないよう引き寄せたのが悪かった。
何かに接着されたかの如く右手が左肘を掴んで離れない。
鹿の次はこれか、と再び身に降りかかった呪いに溜め息すら消える。
180cmを越えた長身男子二人が並び、片方が相手の腕を掴んでいる。女子同士、もしくは男女なら映えただろうが男同士、
それも容姿が真逆であれば悪目立ちするだけか。
ひとまず物陰に隠れて外せないかどうか試そうとした時。]