― 太古の森 ―
[しばし待て、と言い置かれてからどれだけ時間が過ぎたか。
やがて、現れるのは剣を携えた長身の男性]
『……よもや、千年の時を別ちし同胞がこの地を訪れる事があろうとはな。
我はラクスを束ねし者、ネムス。
南の風の娘、用件を聞こう』
[静かに投げかけられる問いに返すのは、ここを訪れた目的。
森の外で生じている事、変革の兆し。
そして、その中での南の山の民の選択。
それら、全てを語り終え]
……北の森が恵みを奪われ、そのための諍いが繰り返されているのは、知ってる。
南の山も、同じような事が起きていた。
けれど、それは、我らが閉ざして、拒んでいたから生じた部分も、ある。