仕立て屋 エルナ

[エルナは、自分の左腕に巻いていた、細長い布をゆっくりとほどいた。
青い痣は赤みが引くとともにくっきりと姿を現し、腕の腫れも一層酷くなっていた。

左腕はやはり鈍く痛むが、もうこの程度の痛み、自分が、そしてゲルトが感じた痛みに比べれば、どうってことはなかった。


　だけど、どうしてリーザのペンダントを見た時、
　あんなに胸が騒いだんだろう。

一瞬の思考のからまりが、現れてはスッと消えた。
もう、考えるのはやめにしよう。]