― 回想:士官学校の頃/寮にて ―
[窓がこんこん…と微かに叩かれる>>1:709
机の配置の関係上、いつも窓近くにいるディークは、
いつものように腕を伸ばして窓を開けた。
窓の向こうでにんまり笑うのは、いっこ年下の弟子の青年。
まんじゅうの紙包みを貰って、やれやれと笑う]
ったーく。お前、食いすぎ。
[ソマリに軽い突っ込みを入れながらも、
そらと焼き菓子を代わりに放ってやる。
カークの分も当然に含んだ菓子の包みは、ベリアンと共に寮に大半居残るようになってから、家に送ってくれと願う量が格段に増えた。
それでも送ってくれる辺りが、甘い母と姉だ。
余談だが、ディークの髪が伸び始めたのも寮に居残りをはじめて間もなくだった]