……あんたに、渡しておくよ。
悪い事に使う、ということはないと思うから。
[そう言って、フリーデルへ、明らかに重要な役割を持っていそうな装飾の鍵――鍵入れの鍵を差し出した。]
[各部屋の鍵は、その部屋で寝泊まりしている人が持っているだろう。]
[客室の合鍵や浴室の鍵、掃除用具室や洗濯室などの本来従業員しか入れない部屋の鍵は、基本的にカウンターの鍵入れの中。鍵入れの箱は頑丈に作られていて、ちょっとやそっとでは壊せない。]
[鍵入れを開ける為の鍵――
実質、これがマスターキーと言える。]
[とはいえ、獣の力であれば、扉の鍵など易々と破られてしまうかもしれない。
窓を破るのは、もっと容易いだろう。
だから、鍵など、信用できる者が管理していたとしても、気休めにしかならないかもしれないけれど**]