[艦隊司令に抜擢し、代将の地位を与えると聞いたときにはさすがに驚いたが、反対はしなかった。能力と、実績と、何よりも気質が陛下の琴線に触れたのだろうと思う。亡国の兵でありながら、故国を呑みこんだ国の兵として働き、身を立てるというのは並の精神と覚悟ではできないことだ。彼の心の強さと、その経歴からくる懐の深さがあれば、同じように帝国外の出身が多い第三艦隊をまとめられると判断したということだろう。]