はぁあ? まぁだわかんなぃのぅ?
魔術師にはねぇ、詠唱の時間を稼ぐ“壁”が必要なのよぅ。
[指先を左右対称に動かす。光の粒子が軌跡を描く。
徐々に紅の複雑な文様が、石造りの壁に記されていった]
全ては
我が生を継ぎし汝に命ず。
僕となりて我の前へ跪き、全てを退ける壁となれ!
[胸元で揺れるロケットペンダントが…
其れに呼応するように石壁の紅の文様が、淡く光る。
倉庫を構成する石片のひとつひとつがカタカタと震える。
動きは次第に大きくなり―――…ついには弾け飛び、
まったく別のものを形成した]