[タバコに火をつける際、リエヴルに気づかれないようにそっと犬笛を吹けば。訓練を積んだ隠密犬が、物音ひとつ立てずに瓦礫の影からそっと顔を覗かせる。吸殻とともに、公国側の雇い主への密書を捨てれば。犬は自分たちが立ち去った後に、それを咥えて公国側の城砦へと走り去るだろう。国務大臣の子飼いのスパイ『狼』から、前衛基地に中佐として配属されているニコラス伯爵への書状には、帝国側の城砦の脆い箇所などが列挙されていた]