― 臨時執務室 ―
[監視がドアをノックし――血まみれの軍服を改めもしない小柄な女性を通した。
帽子もない。髪だけは乱れたままだとアレだったので、手元にあったバレッタで軽くまとめた]
失礼いたします、ラウエンブルク大佐。
先ずは報告から。
先ほど、ノトカー・ラムスドルフ大佐が戦死なさいました。
また、公国軍情報官のミヒャエル・フォン・デンプヴォルフ大尉が単独で侵入してきましたが、ラムスドルフ大佐がこれを撃退しました。
[淡々と話をする顔色は白い]
……先ほどは。小官をお救いいただきありがとうございます。
[あくまで部下としての礼を、人払いの済んでいないこの場では通す]
ですが、亡き公爵閣下は小官に死を以て帝国への忠誠心を見せよという命が出ている様子。
私が信用できないということであるならば――閣下亡き今、軍をまとめる為に私の処断をする――大佐がそのように命じるなら、小官も覚悟はできております。