旅人 ニコラス

[”おかえりなさい”>>157、と聞いた瞬間は、屋根を突き破るくらいの勢いで驚いた。まさか彼女こそが、失った記憶を埋める生き証人なのかと。

だが無邪気に笑うフリーデルが、誰か別の人の面影を追っているのだとすぐに理解する。そもそも四年もタイムラグがあるではないか。

ならばと自分もと、笑みを浮かべながら応じた。]

ただいま。遅くなったけど、やっと帰ってこられた。
スレイプニアを守ってくれてありがとう。君が無事で本当に良かった。

[スレイプニアの意味も、誰が何の目的で託したのかも知らないまま、言われた言葉に応じるような内容を咄嗟に考えで口にする。]