― レジーナの部屋 ―
[ゲルトの言うとおりだ。
こういうことはさっさと済ませてしまったほうがいい。
レジーナの部屋を借り、女はゲルトたちへと背中を向ける]
…………ゲルトは医者とはいえ、やはり緊張してしまうな。
ふふ、私も女だったか。
[冗談交じりに笑って、しゅるりと衣擦れの音を響かせて黒衣を床へと落とす。
黒衣とは対照的な白磁の肌には、いくえにも縦に伸びる爪痕と、脇腹には餓狼の牙の跡が深く穿たれていた。
肩口には食いちぎられたあとなのか、失った肉を取り戻すかのように、醜く引き攣れた痕も見えるだろう]