……。
[ふわふわと、宙を歩くような足取りで、どれくらの間、どこをどう歩いたものか。
曲がり角を不用意にふらりと曲がり、向こうから来た人影がぱっと視界に広がった]
あ、うわ。
[普通なら間に合わないタイミングだが――もしかしたら、向こうが避けようとしてくれた可能性もあるが、ぱっと横に身を寄せる。
無意識のうちに、先程から気になっていた医務室の方角に歩いていたものだから、
もしかしたらそちらの方角から来たのかもしれないし、別の場所だったかもしれないけれど。
現れた人影は、見覚えがあるものだった。>>381
先程ガートルードと会ったあたりだったか、こちらに挨拶をしてくれた女性。>>140
“ナネッテ”という名前は知らないが、見たことがある顔で、そのときは大きく手を挙げて答えたものだった。
(なお、同僚からちょくちょく噂話を聞かされていたこともある)]
すみません! ぼんやりしてた!
[勢いよく頭を下げれば、狐のしっぽのような後ろ髪が、頭の後ろ側からぴょこんと飛び出して、だらんと前に垂れた。]*