[辺りは早くも、混戦になりかけていた。瓦礫に潜んだ味方は蟻が群がるように敵兵をしとめようと動くが、敵もそれを察知しているましてや、ラウエンブルク配下の精鋭ならば、むざむざとやられる様子ではない]面倒な相手だ…――。[片手に剣を掴んだまま矢筒に手を伸ばし、馬上で弓を番えた。慎重に騎馬を駆けさせて瓦礫の合間を狙う。タン。突き刺さると共に、一兵が崩れた。――遥か昔兎の背を射抜いた時のような、一瞬の高揚]