[三日目は朝から集合時間まで丸ごと自由行動。
今まで以上に柔軟な行動が可能になる解禁日。
そして、最終日の今日、
出発地点であるホテルからも程近い今西家書院へ寄りたいと、
旅行前から妹に提案と打診をしていた兄である。
つまり、彼女が頷けば、本日最初の目的地は決まったも同然だ。
集合場所へは余程のことが無い限り、余裕を持って間に合うだろう。
鷹を括って慢心を抱くが、
旅先のトラブルなど息をするより当たり前のこと。
唐突に―――昨日秋桜を騒がせていた突風が兄妹を襲ったのだ。
己は当然、秋を忘れさせる冷たさに眼を細めつつも、
脊髄反射宜しく妹を庇うように抱き寄せた。]