失礼、申し遅れた。 わたしはシリーのフェリクス・ヴェンダーヴァルト・フォン・フリーゲンベルク侯爵だ。 怪しい者ではない──と言っても、この状況では信用はしてもらえないかもしれないが、名誉にかけて、淑女《レディ》の名を汚すような真似はしないと誓う。 我々の立場がどうであれ、わたし個人の人品は信じてもらいたいものだ。[穏やかで丁重な口調で告げる。]