人狼物語−薔薇の下国

497 堕天の服従試験


邪眼の怪物 クレメンス

[どれだけ天に焦れても、最早彼に空は掴めない。
 粘性の羽枷は、彼の些細な変化も逃さず、まるで背を抱くよう。
 
 彼は反抗的だが、愚かではない。
 自らに言い聞かせる言葉とて、自覚があるからだ。>>345
 男の興味から外れぬ限り、天は遠ざかるばかりだと。

 天へと彼を引いていた力を、己の執心が上回る。
 
 ぽすん、と落ちていた彼は、想像よりもずっと軽かった。
 抱きとめる腕が、彼を胸に引き寄せ、煌めく金糸の眸が細く。>>347

 おや、私の名を覚えていたとは光栄だ。
 しかし、君の名を聞き忘れていたね。私もまだまだ気が若い。

[怒気を浴びながらも唇は三日月を模し、相反して喜色を上げる。
 彼の唇は主神に助けを求むよりも、己を認識することを選んだのだ。強く、気高い、眼差しと共に。>>348

 さすれば、彼の発露する抵抗も小動物の戯れと変わらない。
 心音の響くことのない胸板に彼の耳を押し付け、抱き込む男が額に唇を寄せた。彼に与えるは、祝福ではない。>>349

(442) 2018/03/20(Tue) 21:42:11

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