― 会戦海域北東/巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―[甲板には焦げと血の臭いが漂っていた。悪天候たる霧雨や風があるにも関わらず、そこに留まっているかのように感じる。榛が慌しいのと同様、ヴァイスメーヴェでも甲板に居て衝突に巻き込まれた者達の救助や後方船への輸送が行われていた。ただ、ほぼ停止状態にあったのもあり、衝突箇所周辺以外の影響は思ったよりも少ない。けれど、大きく穴が開いている以上、このまま交戦を続けるのは難しそうだった。少なくとも、荒々しいヴィクトリアの操船には耐えられまい]