― 氷の橋 公国側岸壁付近 ―[事態は混迷を極めていた。撤退してゆく斥候部隊と入れ違うように、帝国兵が雪崩れ込み、公国の竜騎兵と激突してゆく。耳元にひっかけた通信機は、先ほどからノイズが酷く。事態を把握できない] ――……ッ、ちっ、状況読めね――…… ヴィンセント!![彼の顔を見つけ、高らかに名前を呼んだ。公国軍から橋や撤退経路を守り、帝国軍には撤退を誘導する彼を見た。判断が、速い。彼の繊細さが、対応力の高さに繋がっている]