いいや、君は物覚えが良い。
“あちら”では、熱心に躾けてやらねばならぬかと考えていたが、私も存外楽しめそうだ。
[彼は変化を自覚するほどに、耐え難い怒りに打ち震えてくれる。
真っ新なカンバスは、どんな色をも拒めない。染まり、色を乗せ、己の五感に忘れていた筈の昂りを思い出させていく。>>341
侭ならぬほど従順な身体を持ちながら、水際で奮い立つ精神もうつくしい形。これで気が乗らぬなら、邪なる怪物であるまい。
彼を天へと釣り上げる神の加護。
彼を地へと引き摺り下ろす魔族の誘引。
高度が下がる最大の理由は、彼の自覚と天への隠蔽に因る。>>342]