― 深夜・2-5号室 ―[人間の姿のまま、足音を忍ばせてヨアヒムの部屋の前に立つ。]ヨアヒム、すまない。開けてくれ。不注意で怪我をしてしまった、傷薬が欲しい。[悲痛な声と共にドアをノックした。最初は突然の腹痛とか頭痛とか、どれを言ったら怪しまれないかを頭を絞って考えた結果。自分にとって、一番都合のよい言い訳を選んだ。]