何度目かの
俺の操縦する偵察機が、何の前触れもなしに制御を失ってしまった。
機体は錐揉みするように高度を下げ、サハラ砂漠のど真ん中に不時着した。
墜落した、と言った方が適切かもしれん。
すぐ近くにオアシスがあったことは幸いだった。
水と食べ物の心配はせずに済んだが、脱出する方法がない。
砂漠を歩いて横断するなど、自殺と大して変わらないからな。
二年間、そこで過ごしたよ。
そのうち、俺の頭がだんだんおかしくなってきた。
ほら、ずっと独りでいるだろう?
そうすると、本来いるはずのないものが見えることがあるんだ。
砂漠と夜空の境界から……ぼうっと……少年の影が……