[ 男が物言いたげに視線を向けるウェルシュに気付いたのは、一通りの伝令を飛ばし、その報告を待ちながら、過去へと想いを馳せた僅かな時の狭間のこと ]
日付が変わる前に出発できるなら申し分ありません。そもそも無理をお願いしたのは、こちらの方です…申し訳ない。
[ やはり腰の低すぎる領主の言葉には>>398さすがに引け目を感じて深く礼をとる。
そして、続けて躊躇いがちに口にされたウェルシュの願い>>400を耳にすれば、思わず「え?」と口に出して、瞬いた ]
それは…
[ 止めるべきだろう、と、男の理性は思う。こうして船大工達に混じって立ち働いていても、ウェルシュは先代を喪ってまだ月日も浅いストンプの領主であり、決して前線に出るような立場の人間ではない。
けれど、と、男の中で、もう一つの心が囁く。これは、この青年が、真に民を率いる者として、この先の現実へと立ち向かうための契機ともなるのではないだろうか? ]