[それからどれほどのひとを殺したか分からない。
けれど、今も、そのときのことが忘れられない。
刃を差し込めば、拘束されながらも狂ったように跳ねた四肢と、
爛れた頬に浮かんだ地獄のような苦痛と、
幾年の時を経ても耳奥に響き続けるような、叫び声が忘れられない。]
[自分は泣いていただろうか、どうだったろう。
――… ほかの仲間に比べて、どうも“感情”豊かな類だったということは、覚えているけれど。
それも長ずるにつれて毟り取られて、
しまいには尽き果ててしまっていたはずだから。]
“ エインヘリャル ”
[かれら(自分たち)は、そういう風な名前のもので、あったらしい。]