[ 気落ちした様子はしかし一瞬のことで、こちらの無茶振りとその要請に隠された切迫した事態を明敏に察したらしいウェルシュは、すぐに力強く頷いて、こちらの望む手配へと動き出してくれた。
そして、その合間に投げた男の問いには、不思議そうにしながらも彼らしい答えが返る>>397 ]
カモメですか、悪く無い。
[ ウェルシュが普段見るカモメは、平和な港町で群れ飛ぶ悪戯者達だろう。だが、沖を往く船にとってカモメの群れは嵐の気配を探る指標であり、魚群や島、危険な暗礁の存在までも時に教えてくれる海の友だ。
その翼は、見た目よりもずっと力強く、強風を衝いて海を渡りもする ]
では、この新造艦の名は『ヴァイスメーヴェ』と。
[ 『白いカモメ』それを意味する名を告げて、男は微笑んだ ]