[やがて、予想していた通り、ステファンにも前線《シュヴァルベ》配属の指令が下る。
赴任前に短い休暇が与えられたのは、上官の温情か、父の地位が影響していたのか。
その父は、激務に追われていると聞いていた。国内外を問わず、協力できそうな者を探して走り回り、交渉を重ねているのだという。
だから、帰省する自分を迎えに来た馬車の中に父の姿を見つけた時には、心底驚いた]
え……っと。何で父さん……?
あ、お、お久しぶりです。
[その馬車には、ベルンシュタイン候の次男、すなわちディークの兄も同乗していた。
どう考えても何かの用事の途中か、帰りであろう。
こうでもしないとゆっくり話す機会もないからと笑う父は、いくらか痩せたように見えた]
……じゃあ、家に着いたら珈琲でも淹れようか。
少しは休まないと。
[馬車が急に止まったのは、そんな話をしている時だった>>383。
外からは、緊迫した声**]
『――曲者です!車から出ないで下さい!』