―――…いけない姫君だ。 人には公の場と告げたくせに、俺に期待ばかりを募らせる。[彼女へ向けて希求を告げたが、ハタと気付けば此処は公共地。その上、重要文化財の指定を受ける仏像が納められている学問寺。平日昼間といえど、当然、他にも観光客はちらほらあって。つまり、幾ら彼女の誘いが甘く響いたとしても、理性がそれは都合のいい妄想だと訴えてくる状況だ。良い夢くらい好きに見たいと、過度の期待を今更散らせもせず、そっと皮肉気な笑みの下に隠し、視線断ち切り瞼を下ろした。*]