― 回想/帝国を出る前の事 ―
……は?
[>>288何処かで聞いた事があるような無いようなそれは大衆小説にあった死に逝く兵士の台詞だったか、など余計な事が頭を過ぎり、始め彼女なりの冗談だと思ったが、それにしては唐突なそれに薄い色の目を開いた。
おめでとうと口にするには浮かない顔をしており、どうしたと問い返して漂う酒気に気付くと、溜まっていた愚痴のようなものが彼女から零れた。
帝国に売られた話までは聞かなかったが、理不尽な内容に憤慨したような、いつもとは違う彼女の一面にその一端を垣間見た気がして、何となし酒に誘いその勢いに任せて吐き出させるようにして。]