[鹿が立ち塞がれば大回りをしてでも避けて歩くのは、
傍から見れば情けないかもしれないが致し方なし。
鹿にファーストキスを奪われなかったことだけは幸いだったのやら。
道すがら、可愛らしいくしゃみにけらりと笑い。>>394]
噂でもされているんじゃないか。
[ばしばしと音を立ててその背中を強めに叩いた。
図体は大きいというのに揃って仔犬扱いされているなど、
隣を歩く仔犬同様に思い至ることもなく。]
社って名前が付くんならどこでもお守りは売ってんだろ。
[呟いて販売所の方に視線を投げる姿を見遣り、一言。>>395
我ながら身も蓋もない返答という自覚はある。
何かお守りを買いに行く背中を遠巻きに眺め、結文の形をしたそれを大事そうに結ぶのを横目におみくじを買い。
またも同じ結果だったおみくじに、神がわざと仕組んで大笑いしているのではないかと無駄に勘ぐってしまうのは無理もないことか。*]