─少し前/上長官部屋前─
[静かに立ち去ろうとしたのだが、どうやらリヒャルトの視界に入ってしまったらしい>>399。
気まずい記憶として残っているあの日と同じ様に会釈を向けられ、それを悟る]
[リヒャルトのぼやきと、その手に纏う白い手袋と、あの瞳の色は。
工兵学校を卒業してから出会い、二年程の付き合いのあったかつての友人を思い返し、ついリヒャルトを見ると見入ってしまう申し訳ない癖があった]
若いからって仕事任されないって思ってるみたいだけど、貴方の言葉から出てくる上の人の言葉、貴方に期待がある言葉だと思いますよーっと。
[『もっと大変だったら仕事に没頭出来た』と苦笑して切り上げるその背中に、ついこぼしてしまった言葉は。
かつての友人が己に言い、そうして同じ様になかなか乗組員の仕事をさせてくれない上層部にぼやいていた俺へと言い聞かせてくれた言葉だった]