――異国…、
[黒髪人種の少ないこの国で、自分は異端な方なのだろう。
昔から何処の生まれだと聞かれる機会は多かったが
混血なだけの、生粋の自国生まれの男。
特に興味も無い為に、他国文化の知識も疎かったが。
珍しい異国の文字を、何処かで目にした気がする。
それもかなり最近だ。
あれは何処でだっただろうかと、
異国の茶へジャムを入れながら思案する。
「髪の色が」とのソマーリュの言葉を受けてふと我に戻り
フェリクスの見解を待つ刹那。
ソマーリュの表情から一切の微笑が消し去られる。
何を考えているのか、その全貌を推し量る事は叶わぬものの、
普段の人懐こい彼とは別人のようなその表情は
とても心地のよいものに感じられ、微か口許へ笑みを梳いた。]