ならず者 ディーター

［──もし、選ばれなかったら？いやまさか。
そんなことはあるはずがない。あるはずがないよな？
この村で一番、金狼様を愛しているのは、オレ。

この命も、今までの全ても、これからの全ても。
全て貴方の為なら捨てられる。なんだって差し出せる。

全て、貴方の前では一つだって価値はない。
そのどれだって、欠片も惜しくはない。

だから、オレを選んでくださらないはずがない。
捨てられなかった夢の残骸。吹いて湧き出る泡のよう。


だけどもし、他の誰かが選ばれたなら？
ならきっと、それは金狼様ではない。金狼様は見ていてくださるから。
きっと金狼様のふりをした偽物だから、探して見つけよう。よくないことだ。］