[…―――どんな刺激も繰り返せば新鮮味を失うように、
永く生きると…どうしても感覚は磨耗し、すべてにおいて鈍感になる。
一時期は、其れでもいいと思っていた。
終わりにしたければ、魔術を止めるか使い切ればいい。
それをしない――出来ないのは、託されたものがあるからだ。
年を重ねて触媒を積み上げ、また磨り減らす。
老婆になり少女になり、若返りと加齢を繰り返す。
生まれ成長し歳をとって老いて死ぬ。
そんな正しい人間の輪から外れた存在。
世界の端に手を掛け堕ちかけるも離さぬ、
――――…未練がましい生き物だ]